とうふよう

飲酒の習慣がまったくなかったころから、一度は口にしたいと思っていた、「とうふよう」という酒肴がある。赤瀬川原平尾辻克彦)の『ぱくぱく辞典』(ISBN:4120020738)を読み、「とうふよう」なるものを知って以来なので、かれこれ15年近くも憧れていることになる。

そして今日、いきつけの琉球料理店のメニューに、わが眷恋のとうふようがあるのを発見。これを食べずにいられるはずがない。

味はきわめて美味だが、きわめて濃厚。思っていたのとはやや異なり、塩辛かった。だからこそ泡盛や上質の白ワイン、辛口の日本酒との相性はよさそうだ。逆にビールのつまみとしては、まったくお勧めできない。「この2センチ四方の立方体で、一晩中酒が呑める」という赤瀬川原平の言葉に嘘偽りはない。

金曜日よりこのかた、仕事の関係でいささか落ち込んでいたのだが、近所にこんな旨いものを食べられる店があると知っただけで、気も晴れようというものだ。