追悼

指揮者のカルロス・クライバーさんが死去

これは個人的にかなりショックの大きい出来事。74歳なのだから、亡くなっても不思議ではない年齢ではあるが、存在そのものが生きながら伝説と化していた感が強く、このひとに「生身の肉体」があったこと自体が意外なような気さえする。ゆえに「哀しい」よりも、「ショック」という気持ちが強い。

実演を聴く機会はまったくなかったが、ベートーヴェンの「7番」とブラームスの「4番」がお気に入りだった。

追記:ル・モンドに掲載されている追悼記事*1には、カルロス・クライバーがパバロッティに宛てた手紙の一説が紹介されている(原文もフランス語で書かれたようだ)。


Quand Luciano Pavarotti chante, le soleil se lève sur le monde.
こういうことを書いてサマになる男は滅多にいるものではなく、サマにならない男であるオレが翻訳してもまともな日本語にはならないので、原文のままで載せる。と書くことで、こなれた日本語に訳すだけの能力のない自分をごまかそうとしているわけだが。

ところでSankei Webなどでは「クライバーの母親が彼の死を公表した」と伝えていたが、これは「クライバーは彼の母親、そして去年の12月に死んだ彼の妻の生まれ故郷であるスロヴェニアで死んだ」の誤訳ではないだろうか。と思ったら、誤訳はきちんと訂正されていた。

*1:ベリオの死を日本のマスコミがほとんど報道しなかったことに失望して以来、ヨーロッパの文化や政治について調べるときは、ル・モンドを参考するようにしている。