「『批判』批判」批判

代案なき批判は批判ではないという批判が有効に機能したためしがないのは代案なき批判は批判ではないと批判するひとにかぎって単なる批判に取って代わる有効な営為は何かを明示できたためしがなく理屈っぽい人間を黙らせるための「脅し文句」として代案なき批判は批判として機能しないと言っているからではないか。

世の中、分析や批評が得意なひともいれば、代案を提示するのが得意なひともいて、そうした批判や代案を汲んだ上で「運動」を展開するのが得意なひともいるし、偉いひとの決めたことには盲従するのが得意なひともいる。それぞれがお互いの特性を活かしあえばいいだけの話であって、批評家タイプ、研究者タイプのひとに「代案を出せ!」と要求するのは、生まれつきアルコールに弱いひとに、「呑んでも正気を失うな!」と命じるようなものだ。