投票と外食

モーニング娘。の「ザ☆ピ〜ス!」には、「選挙の日って/ウチじゃなぜか/投票行って/外食するんだ」という一節がある。オレはこの曲をはじめて聴いたとき、「そんな家、あるわきゃねぇだろ。つんくの歌詞は相も変わらず意味不明だ」と思ったのだが、宿主に言わせると「すっごくリアリティーがある」のだそうだ。

宿主が生まれ育ったのは典型的な企業城下町で、その市にはほとんど、ある自動車メーカー(およびその系列会社)の社員と、その家族しか住んでいない。そして会社の上層部や労働組合の方針で、どの政党に投票するかが事前に決まっているのだ。結果として家族全員が同じ政党に票を投じる*1ことになる。そのため、「投票に行く」のは「近所のお祭りに行く」のと同じレベルの行事として捉えられており、帰りには外食するのが通例だったとか。そりゃまあ、一家揃って同じ政党に投票したのだから、食事中に政治がらみの話題で家族の雰囲気が険悪になることもあるまい。

両親が比較的リベラルな思想の持ち主だったオレの実家では、「投票所にはばらばらに出掛ける」「特定の政党に投票することを強要しない」「行きたくなければ、投票に行かなくてもいい」「たとえ家族同士であっても、支持政党をあからさまに訊かない」というムードが支配的だった。だからこそ数年前の都知事選のとき、宿主から「どの候補に投票したの」と訊かれたオレは、「思想及び良心の自由を侵そうとするつもりなのか、お前は」と腹を立てた。しかし彼女のほうは、「どうしてその程度のことも教えてくれないの」と思ったのだろう、きっと。

そんなこんなで参院選も間近。とりあえずは泡沫候補の観察にいそしもう。

*1:もちろん未成年者以外は。