踏み絵としての「もえたん」

ところで『もえたん』に出てくる例文でいちばん面白いのは、疑いようもなく「The captain is bright.」なのだが、これは何がどう面白いのかを説明すると、まったく面白くなくなってしまう。ゆえに一般メディアが『もえたん』を取り上げるときは、「He is serious about which sister he should take.」のような判りやすい例文が紹介されがちなのであろう。

どの例文を面白いと思うかで、その読者のオタク的感受性の濃淡が明らかになってしまうあたり、『もえたん』は踏み絵のごとき書物ではあるまいか。