ぷにっ

幕末太陽傳[amazon]を観る。肺を病み、始終ごほごほとと咳き込みながら、持ち前の才気と陽気さで世渡りしていく町人、フランキー堺はもちろんのこと、高杉晋作役の石原裕次郎も素晴らしい。オレはいかにも体脂肪率の足りていなさそうな俳優が好きで、裕次郎の「ぷにっ」とした体型が苦手だったのだが、ここまで痛快な演技を見せ付けられては、文句を言う気が起きない。

それにしても「ひょんなきっかけである組織の一員となり、組織の古い秩序を解体/改革し、最後は何の未練もなくその組織を去っていく男」を描いた映画には、たとえそれが能天気な喜劇であったとしても、なぜかくも心を揺さぶられるのか。いかりや長介なきあと、『踊る大捜査線』の続編が作られる可能性は低いのかもしれない。しかしもし作られるのなら、織田裕二は最終作で出世も殉死もせず、あっさり中途退職してほしい。それこそ、日本映画的に正しい振る舞いではなかろうか。