下町情緒?

早朝、思い立って寝具一式とホットカーペットをクリーニングに出す。こういうときは「安いし、早いし、サービスもばっちりですよ!」的なチェーン店より、老夫婦ふたりがむかしから切り盛りしており、地元のひとたちから地味に愛されている店のほうがはるかに役に立つという、当たり前といえば当たり前のことを確認する。決して格安でも仕上がりが驚くほど早いわけでもないが、こちらのリクエストに柔軟に応えてくれるのが、じつにありがたい。

以前、世田谷区の千歳船橋に住んでいたころにも感じたことだが、関東大震災でも東京大空襲でも大きな被害を受けず、かつ以前は農村だった東京の街には、いまだに「出入りの業者とお得意様」的な濃密な人間関係が息づいている。すっかり観光地化した浅草よりは、世田谷区や練馬区(の急行が止まらない駅)を訪れたほうが、よほど「下町情緒」を味わえるのではあるまいか。