全学連と全共闘

同じ学生運動といっても、1960年の全学連と1970年前後の全共闘には、かなりの差があったのではないだろうか。簡単に言えば、前の世代から受け継がれた「よいもの」をよりよいかたちで受け継ごうとしたのが全学連で、そうした「よいもの」を全否定しようとしたのが全共闘だった気がする。

政治的には社会党左派的なものを支持し、天皇制にはアンチを貫きつつも、文化面では19世紀のフランス文学やドイツ音楽を愛好しているオレの両親を見ると(父親は故人だが)、「ああ、このひとたちは全学連世代なのだなぁ」と思うことがよくある。そしてこの「全学連エートス」がオレのメンタリティーに与えた影響は、決して少なくない。それはハイカルチャーに対する信仰心とパラフレーズしてもいい。

かようなわけで、たとえオレと同世代であっても、両親が全共闘世代(というか、戦後生まれ)であるひとの言説には、そこはかとなく馴染めないものを感じるのであるよ。