おニャン子

かなり前に届いていたのに目を通す機会がなかった『音楽誌が書かないJポップ批評31 おニャン子クラブと永遠のグループアイドル』[amazon]を、ようやく読む。総じて「読み応えはあるが、殺伐としてはいない」というのが第一印象。ちなみにオレは「フレキシブル・フニャモラ・サバイバー、あるいは『1970』の憂愁」というコラムを担当した。

同誌はフリッパーズ・ギターYMOを取り上げるとなると誌面全体がイデオロギー闘争(笑)の場と化してしまい、いささかの殺伐さを漂わせるのだが、おニャン子に関してはそうしたことがない。それはおニャン子が、「『好きだ』と言明することが、みずからの『趣味の良さ』を保証するわけではない存在」だったからだろう。今回の誌面からは、「おニャン子なんかが好きだったんだよな、あのころのオレは」といった調子の、いい意味で「とほほ」な文章が目に付く。

ただし女性ライターの起用が少ないのがちょっと気になる。おニャン子はメンバーよりも少し年下のオンナノコたちにも支持されていたはずで、できれば彼女たちの声も聞きたかった。