傾向的

少し前に流行した「100の質問」にしても、いま一部の界隈で話題になっている現代系オタの特徴次世代オタクの特徴にしても、質問を作成した側の「偏向」が窺えるのが、面白くて、かつ退屈なんだよね。本好きだか小説好きだかの100の質問に回答しようとしたとき、「小説を読む人間はキャラ萌えしているに違いない」という前提に立った質問が多く、思い切り萎えてしまったことを思い出す。

オレは19世紀以降に日欧米で発表された文学作品ばかり読んでいる(ほかは読む気がしない。何を読んだらいいのか判らない。「どうせ退屈だろう」という偏見を持っている)という非常にダイナミック・レンジの狭い男なので、「小説と名のつくものならとりあえず何でも読む。あるいは読むことを心がけている。ジャンルに対する特別なこだわりや差別などはない」だなんて烏滸がましいことは、口が裂けても言えない。ま、クンデラあたりの口吻を借りて、「小説とは19世紀ヨーロッパのブルジョワ社会が生み出した文学の私生児であり、『源氏物語』や『アラビアン・ナイト』を小説に含めるのは遠近法的倒錯にすぎない」と主張するのなら話は別だけどさ。ちなみに「文学や哲学に詳しい」や「ファッションには気をつかうほうだ」についても同断。こういう項目に堂々とマルを付けるひとの心理とは、いったいいかなるものであるのか。