殊能将之『子どもの王様』[amazon]

なかなか読者に底意をつかませないひねた作品の多い殊能将之だが、この本はティーンエイジャーが読者対象のためか、わりとストレートな語り口。起きる事件は陰惨だが、後味は悪くない。むしろ暖かな余韻さえ感じられる。「神聖騎士パルジファル」なんていうお遊びは、いかにもこの作者ならでは。

かつてジュブナイル小説を愛読していた時期があり、いまどきのライトノベルにはついていけないものを感じるおじさん(つまりオレだ)にお勧め。もちろん現役の少年少女にも。