アホの宴
「奇人たちの晩餐会」(フランシス・ヴェベール、1998年)[amazon]
オープンニングのアニメがなかなか洗練されており、「もしかしたらこれはお洒落な映画なんじゃないか」という疑念が脳裡をよぎるが、ジョルジュ・ブラッサンスが「♪バカは死んでも治らない〜」と歌いはじめて、大いに安心する。ああ、これは期待通りのバカ映画に違いない。
その期待は裏切られることなく、
- サッカーに夢中になっているフランス人はバカだ
- それをバカにするフランス人もバカだ
- フランス人はベルギー人をバカだと思っている
- そう思っているフランス人もたいがいバカだ
- 節税しない金持ちはバカだ
- でも節税しか頭にない金持ちはもっとバカだ
- フランスの出版業界と広告業界は、「ぷちバカ」だらけである(これは日本もそうか)
- フランスのヤサグレ系インテリがブラッサンスに寄せる崇敬の念は深い
- でも生前のブラッサンスが心底バカにしていたのは、その手のスノッブではなかったか
- ということまで、この映画の関係者は見通しているのであろう
- だけどこんなバカ映画を真面目に撮ってしまうのだから、やはりただのバカである
しかし「Le Diner de Cons」は「奇人たちの晩餐会」などとお上品に訳さずに、「アホの宴」としたほうがよかったのではあるまいか。