幽霊

……私は「幽霊が化けて出る」と言っているのではない。「幽霊が化けて出る」という信憑を持たない社会集団は存在しないという事実を申し上げているのである。(内田樹『映画の構造分析』)
現実社会に対してやたらと「現実的」な見通しを語るひとが、オレにとっては非現実的なことしか語っていないように見えるのは、「にもかかわらずひとが『幽霊が化けて出る』という信憑から逃れられないのはなぜか」という疑問には答えていないからだろう。

オレは死後の世界や、魂の不滅は信じない。サヨクなんだから、当然のことだ。しかし「『魂』とか死後の世界なんてあるわけないじゃん、それよりはいまここにある現実を見据えないと」と「現実主義者」から言われると、ちょっとたじろぎ、鼻白んでしまうのだ。