誰の曲か?

果たして「木綿のハンカチーフ」は誰の曲なのか。

ロッキング・オン・ジャパン』を愛読している現役女子高校生にとって、これは椎名林檎の曲であろう。『ミュージックマガジン』を愛読している大学生にとって、これは筒美京平の曲であろう。リアルタイムでこの曲に接した者にとって、これは太田裕美の曲であろう。はっぴいえんどヲタクにとって、これは松本隆の曲であろう。

もちろんオレはしたり顔で、「『木綿のハンカチーフ』は椎名林檎の曲じゃないよ」と若者を啓蒙するつもりはない(でも、酔った勢いでやっちゃうかもしれないが)。それよりは「木綿のハンカチーフ」が「誰の曲」であるかを簡単には同定できないことや、この曲を「誰の曲」としてを捉えているかで、話者が属するトライブが顕わになることのほうがオレにとっては興味深いのである。