太宰治伝

昨日読んだ『エイリアン永理』[amazon]のあとがきで、吾妻ひでおが「機会があったら明るく楽しいノリの太宰治伝を描きたい」と言っていた。こ、こ、これは。実現されたら、確実に買う。絶対に買う。読みたいなあ。

ところで太宰ファンのギャグ漫画家といえば、ほかには江口寿史がいる。「描けない自分」をネタにしているうちに自家中毒に陥って、本当に何も描けなくなってしまった点で、このふたりは似ている。一度ファンになると、どうでもいい作品まで全部読みたくなること、冴えない男子と垢抜けた女子に支持されていること、地方出身者であることへのこだわりが強いこと、大酒呑みであること、とんでもなく実験的な作品を書いても、なぜか娯楽として成り立ってしまうことも太宰と似ている。ま、太宰本人は「書けない書けない」と言いながら、依頼された仕事はきっちりこなした上で死んだわけだが。このひと、締切りは律儀に守るタイプだったのではなかろうか。

と、ここまで書いて「締切りを守る作家・守らない作家」という観点から近代日本文学史をリミックスしたら面白いのではないかとひらめいたのだが、次の瞬間に坪内祐三ぐらいの読書量がないとどうにもならないと気が付いてやる気が失せた。