ハッカ

8 1/2[amazon]。学生時代のオレに欧羅巴のお芸術映画への怨嗟を植えつけるきっかけになった、要するにあまり幸福な出会いかたをしなかった映画なのだが、10年たったいまでは素直に面白がれた。重要なプロジェクトをまかされているわりにはどうにも気乗りせず、ずるずると予算と時間を浪費する主人公の心情は、中年になってから観たほうが切実に感じられるんじゃなかろうか(どんな映画に対しても同じことしか言っていない気がするが、話がくどいのもまた中年の特徴である)。

伊太利亜人同士が伊太利亜語で会話するシーンでも、「メ・ウィ」だの「メダムゼメッシュー」だの、間投詞的に仏蘭西語が差し挟まれるのが耳に残る。ある種の日本人が無意味に英語を使いたがるのと同じく、このころの伊太利亜人にとっては、日常会話で仏蘭西語を使うのがオシャレだったのかもしれない。違うか。


地名や国名にいちいちリンクが貼られてしまうのが鬱陶しくて、あえて漢字で表記してみましたが、わざとらしすぎてよくありませんね。