サムライフィクション

SAMURAI FICTION[amazon]を観る。話そのものはよく出来ている。特に風間杜夫演じる溝口半兵衛が道場破りに行ったあたりから、加速度的に面白くなった。しかし殺陣や言葉遣いがあまりにも時代劇らしくないので、どうにも興が殺がれるのだ(ゆえにほとんど科白らしい科白がない布袋寅泰が、いちばん「演技が上手い」ように見えてしまう)。

既存の時代劇に対するアンチテーゼとして、あえて「らしくない」演出を選択したのかもしれないが、ここはやはりきっちり作りこんだほうがよかったのではあるまいか。昨日観た「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦」がどうでもいいくらい緻密な時代考証を重ねることで、荒唐無稽な設定にリアリティーを持たせていたのとは対照的。フェイクだからこそ、細部にはこだわってほしいのだよ。