淋しい街

どこでもいいからひとがいない街をぶらつきたくなり、地図で適当にあたりをつけ、千川から有楽町線に乗って辰巳へ行く。うちから千川駅までは意外と近い。江古田駅とあまり変わらないかもしれない。
お目当ての辰巳駅周辺だが、たしかに道行くひとは少ない。しかし近くに東雲キャナルコートなどというハイパーモダンな建築群ができやがったせいか、「東京のどん詰まりにあるうらぶれた街」というオレが期待していたイメージは見事に裏切られる。まあ、東京湾と巨大な排水溝が見られただけでもよしとするか。着いたときにはすでに日が暮れていたので、それほど風景を楽しめたわけではないのだが。

図書館の自由が侵されるとき、われわれは団結して、あくまで自由を守る。

図書館戦争

図書館戦争

図書館の自由に関する宣言」ミーツ・ポリティカルフィクション・ウィズ・微量の萌え! と、これだけの説明では何のことやら判らないかもしれないが、まあ、そういう物語である*1。いかにもいまどきのライトノベル然とした文体に馴染めないひともいるだろうし、言論の自由をめぐる深遠な議論が展開されるわけもないが、書物をテーマにした軽妙なエンターテインメントとして、なかなかの出来栄え。書き手の有川浩が女性だからなのか、作中に挿入される恋愛シーンがそらぞらしくないのも好印象。

*1:「これだけの説明」でぴんと来るひとなら、確実に楽しめるはず。

occupyしたいがしたくない

愛すべき娘たち (Jets comics)

愛すべき娘たち (Jets comics)

よしながふみの作品ではおそらく唯一、男女間の恋愛をテーマにした短篇集。ボーイズラブよりは自分にとって卑近なテーマだからか(当たり前だ)、身につまされる話が多い。「泣ける」という言葉を安易に使いたくはないのだが、でもこれは泣ける。
特に第3話。たしかに二個の者がsame spaceヲoccupyスル訳に行かぬのが世の真理なのかもしれない。しかしその残酷さに耐えられない者に残された道は、ある種の「主義者」になるしかないのか。