モーソー

書店に「新潮文庫の100冊」のパンフレットが並ぶと、夏の訪れを実感する(という書き出しで日記を書いたことは、すでに数回かあるはずだ)。むかしは人気作家のエッセイや雑学的なコラムが豊富で、それが楽しみで手にしていたのだが、最近はすっかりただのカタログになっている。
しかし若い読者層を意識したのか、キャッチコピーやあらすじの紹介文のテンションがすごい。そうか、ここを楽しめばいいのか。

アジア旅行者はみんな読んでる!
バックパッカーのバイブルはここから始まる。

40年前に「世界の○○○」と言わしめた
中田よりもイチローよりもスゴイ挑戦

モーソー満載の饒舌体。推理小説と恋愛小説、青春小説の要素がすべて楽しめる、ヘヴィながらも熱い大作。

元祖セカチュー! 誰しもラストで涙する、これこそ日本の純愛小説の原点。

さて、それぞれ何を指しているでしょうか。上のふたつはすぐに見当がつくと思うけど。

バイト小説

新潮文庫の100冊」のキャッチコピーが意外と好評だったので、もう少し引用する。

彼女に踏みにじられたい、そんな欲望が君の心の奥底にもひそんでいるはずだ!

五千円札になった女性作家の
声に出して読みたい小説。

一日限り。女子学生と地下室で。扱うのは死体。これは究極のバイト小説だ!

来る日も来る日も
砂・砂・砂……

この辺になると、「日本近代文学」に興味があるひとならだいたい判ってしまうであろう。

「読むべきか、読まざるべきか……」
戯曲のキホンだ! 読むしかあるまい。

美人じゃなくてもこんなに元気、こんなに幸せ。アンは女の子の永遠の憧れです。

身も蓋もなさすぎる。

拳銃・プルトニウム・スパイ教練の過去。
渋谷に持ち込んだのは、この3つだ。

神の領域へ、錬金術の異界へ一直線。
大学生デビューでこのスゴさ。天才だ!

いずれもここ10年以内に芥川賞を受賞したひとの作品。
ところでコメント欄では正答者がいなかった「モーソー」と「セカチュー」だが、それぞれ手塚治虫によって漫画化されたロシアの小説と、松田聖子の主演によって映画化された明治の小説なのであった。