とうふよう

飲酒の習慣がまったくなかったころから、一度は口にしたいと思っていた、「とうふよう」という酒肴がある。赤瀬川原平尾辻克彦)の『ぱくぱく辞典』(ISBN:4120020738)を読み、「とうふよう」なるものを知って以来なので、かれこれ15年近くも憧れていることになる。

そして今日、いきつけの琉球料理店のメニューに、わが眷恋のとうふようがあるのを発見。これを食べずにいられるはずがない。

味はきわめて美味だが、きわめて濃厚。思っていたのとはやや異なり、塩辛かった。だからこそ泡盛や上質の白ワイン、辛口の日本酒との相性はよさそうだ。逆にビールのつまみとしては、まったくお勧めできない。「この2センチ四方の立方体で、一晩中酒が呑める」という赤瀬川原平の言葉に嘘偽りはない。

金曜日よりこのかた、仕事の関係でいささか落ち込んでいたのだが、近所にこんな旨いものを食べられる店があると知っただけで、気も晴れようというものだ。

初陣

しかしオレはなぜ「水曜どうでしょう」に、かくも惹かれるのか。それは「常に初陣」という精神に貫かれているからだろう。もちろん「ジャングル・リベンジ」のころともなると、編集センスや大泉洋のギャグの切れ味は、以前に較べればかなり向上している。また娯楽番組である以上、ある程度の「ヤラセ」はある。しかしDVDの副音声で、スタッフが「じつはこのシーンは『ヤラセ』だった」と告白しているのが、何ともすがすがしい。そして新しい企画が持ち上がるたびに、ゼロから方法論を組み立て直すスタッフや出演陣の姿勢に、「あ、いいなあ」と感じるのだ。

この番組のコンセプトは、基本的には「芸人イジメ」となるかもしれない。しかし「電波少年」などを観たあとに感じる不快感は、「水曜どうでしょう」にはない。それは番組に携わるすべてのスタッフや出演者に、ゲマインシャフト的といっても差し支えない連帯感があるからだろう。

お笑い番組やバラエティー番組を観る習慣に乏しいので、どこか的外れなことを書いている気もするのだが。