本日の実家より届きしもの

来たるべき大岡昇平論のための資料としてう、母に送ってくれるように頼んだものが届くく。

新潮現代文学 (23) 大岡昇平  野火 事件

新潮現代文学 (23) 大岡昇平 野火 事件

初期の代表作と『野火』と当時の話題作の『事件』を収録。『野火』は吉田健一が解説を書いている新潮文庫版を買い直せばいいかと思っていたが、こちらのほうが校正・校閲がしっかりしていると思い、取り寄せる。
蓮實重彦は「自分の意見や経験を重視せず、資料空間に徹底して埋没するところに大岡昇平のすごさがある」で書いているが、『事件』はその典型のような作品。「純文学作家が書いた推理小説」として興味本位に読まれるには、もったいない傑作。
『ユリイカ 増頁特集*大岡昇平の世界』
これはアマゾンでも青土社の公式サイトでも取り扱っていなかったので、Yahoo!オークションにリンク。丹生谷貴志の例によって例のごとく呂律が廻っていない(が、そこが魅力なのだから困る)批評と、全集以外には収録されていない大岡本人の短いエッセイがおもな目当て。
それにしても第24巻の個人全集があり、世間的には「小説家」と認知されているのに、小説が12巻、評論が9巻、初期の習作(ほとんどが翻訳と評論)と雑纂・補遺・資料と対談集がそれぞれ1巻というは、珍しい作家だろう。