本日の読了本

中島敦 父から子への南洋だより

中島敦 父から子への南洋だより

初版を手にしたのはだいぶ前だか、実際にきちんと通読したのはこれが初めて。長男から送られてきた手紙の文字遣いの誤りを厳しく叱責しているのが目に付く。
大岡昇平は1909年五月生まれ、中島敦は同年5月生まれ、太宰治はこれまは同年6月生まれ。戦時中に落命した中島、敗戦の食後に自死したあとのふたりがもっと長生きしていたら、歴史的仮名遣いと正字を放棄して、ある時期からの大岡のように「間違っているが、敗戦国であるからには間違った書法を採用しなければならい」というロジックで現代仮名遣いと略字を採用しただろうか。何となく興味のあるところだ。