ひとは愛するものについて語ると、つねに挫折する

読了。“文学少女”シリーズは倫理的な理由から小説を「書かない」ことをみずからに課した少年が主人公なのだが、ここにきて何かを書かざるを得ない状況に追い込まれてきた。すなわち実質的な最終巻になる次巻で、語り手にはプルースト的な判断が要求される(と、冒頭の一行しか原文で読んだことがなく、井上究一郎訳を全巻所有しているがなかなか読む機会のない小説に唐突に言及する)。書いても書かなくても、すべてのファンを納得させるのは難しい気がするが、作者には何らかの目算はあるのだろうか。
この作者や友人知人も含めて、オレよりも3歳以上年下の作家や読書家は、大学院まで進んで文学研究をした者を除けば、いささか素朴な文学観を持っている気がする。これは1980年代の日本の文学や文芸批評がフランスに20年ほど遅れる恰好で、ひたすら難解になった状況に対する反動なのだろうか。
えーと、ISBN/ASINリンクでアクセスしたひとは「琴吹タン萌え〜」みたいな話題を求めていたのかもしれないのだが、そうはならずに申し訳ない。<>(だったと思うが、正確な引用ではない)というわけではなく、単にこういう風にしか読めないのだ。