少年漫画のルビ

生まれて初めて純粋に漫画を読むことだけが目的で漫画喫茶に行く。いまはそこから更新している。仕事で1980年代初頭の少年漫画を読んでいるのだが、「少年ジャンプ」連載作品には漢字にルビが付いていないのを知る(固有名詞を除く)。なお「サンデー」、「マガジン」、「チャンピオン」、現在の「ジャンプ」はいずれもルビが付いている。いま確認したが、「ジャンプ」は1983年の年末に発行された単行本から、ルビを付けるようになったようだ。長期連載作品は、こういうのを確認するときにありがたい。
なおオレが読んでいる作品では、距離、屋敷、監督、完璧といった、大人になっても書き間違えそうになる単語も、普通に使われている。1980年代初頭といえば、まさにオレが同誌をもっとも熱心に読んでいた時期だが(そのころの年齢は12歳前後)、ルビがついていないのを不便だとは思わなかった。また漫画好きの同級生のあいだでも、そのような声はなかった。「最近の若者は日本語運用能力が低くなっている」というのは、あながち俗説でもないのだろうか。

追記

もしかしたら「ジャンプ」にルビがなかったのは、コスト削減のためかもしれない。1970年代までは、同誌は他社のライバル誌の後塵を拝していた。名実ともに週刊少年漫画誌のトップになるのは1985年ごろである。そのころから写植にルビを貼れるだけの経済的な余裕ができ、他社に倣うようになったのではないか。写植の世界にそれほど詳しいわけではないが、ルビを振るほうが手間隙がかかり、その分だけ請求される金額が高くなるというのは、それほど突飛な想像ではなかろう。ただ一度だけだが、むかしの漫画の復刻版で写植貼りを経験したオレはそう思う。