「冠」と「祭」は何のことでしょう?

冠婚葬祭のひみつ (岩波新書)

冠婚葬祭のひみつ (岩波新書)

難しい内容でもないのに、雑事に追われて読み終えるのに時間がかかった。「われわれが伝統的だと思っている風習は、じつは近代になってから確立されたものなのじゃー」と指摘する本は毎月(もしかしたら毎週?)のように出ているが、いかにも斎藤美奈子らしいアイロニーを交えつつ、「21世紀の日本にふさわしい結婚式や葬儀のありかた」を提案しているのが特徴。それから結婚式を論じた第2章と葬儀を論じた第3章では文章のトーンが異なる。第2章はシニカルなのに、第3章は真摯。正統的なフェミニストである彼女にとって、結婚式はただひたすら馬鹿馬鹿しいものにしか思えないのだろう。それに対して葬儀(死)は思想信条とは関係なく直面しなければならない問題で、いきおい真剣にならざるをえないのだろう。