今回の準拠枠は『友情』

“文学少女”と繋がれた愚者 (ファミ通文庫)

“文学少女”と繋がれた愚者 (ファミ通文庫)

ブギーポップ」や「マリみて」や「ハルヒ」でさえ第1作しか読んでいないという、シリーズもののライトノベルとは相性の悪いオレだが(シリーズが長期化するにつれ、快楽よりも義務感が先立ちそうになるのがいやで、そうなる前に「切って」しまうのだ)、このシリーズは楽しみにしている。過去の名作文学を物語の準拠枠にするギミックと、男性読者の性欲を必要以上に刺戟しない品のあるイラストがポイントか。

著作権が切れる利点

森茉莉ファンの知人に聞いたのだが、父親の森鴎外著作権が切れ(当時の著作権保護期間は30年くらいだったとか)、収入を得る手段がなくなった途端、彼女は生活のために創作活動を開始したそうだ。あまりにも例外的なケースだが、著作権の保護期間が切れたのが直接的な原因となって、新たなる文学者が生まれることもある。
森茉莉の作品には高校生のころから漠然とした興味を抱いているのだが、男性読者が安易に手を出してはいけない作家のように思え、ほとんど1行も読んだことがない。