漫画のネームも「なか見!検索」

アマゾンの「なか見!検索」に対応している漫画はないかと調べていたら、黒鉄ヒロシの一連の幕末ものが見付かった。黒鉄ヒロシだから、というわけではなく、PHP研究所から出版されている書籍の多くは「なか見!」に対応しているようだ。
しかし小説や評論はともかく、漫画を「なか見!」できても仕方ないと思いきや、『新選組』(ISBN:4569554601)を「近藤勇」で検索したところ、該当するページがごっそり見付かった。アマゾンが独自にスキャンしたファイルをもとにしている(らしい)のだから、きちんとした活字で組まれたネームなら検索できてもおかしくないのだが*1、それでもびっくりしてしまう。「ネームを全文検索して、内容を確認してから購入する」というのは、これまででは考えられなかった漫画の買いかたではないだろうか。
そして漫画こそ「なか見!」に対応してほしいという思いは、オレのなかでは強い。なぜなら何巻まで読んだ(買った)のかが把握できなくなり、途中で続きを読む気が失せてしまった作品があまりにも多いからだ。「なか見!」で数ページでも立ち読みできれば、自分がすでに読んでいるかどうかを確認して、「何巻以降を買えばいいのか」という目安ができるので、かえって購買意欲が増す。
とはいっても、「なか見!」への抵抗がいちばん強そうなのが漫画業界だってことも、充分に想像できるんだけどね。

*1:果たして西原理恵子のフリースタイルの手書きネームなんかは検索できるのだろうか。

北越戊辰戦争と新潟市

日本史にそれなりに興味のあるひとなら、北越戊辰戦争長岡市が大きな戦場になったことは知っているだろう。しかし新潟市でもそれなりに激しい戦闘があったことはあまり知られていない。オレもつい数年前、新潟市内で小さな慰霊碑をたまたま見付けるまでは、「戊辰戦争は長岡で起こったことで、新潟は関係ない」と思い込んでいた。新潟市の公式サイトでも戊辰戦争に関する説明は、

しかし,開港が実現しないまま幕府は倒れ,慶応4(1868・9月明治改元)年1月,戊辰戦争が始まります。7月,新政府軍は,奥羽越列藩同盟の補給基地になっていた新潟町を制圧し,新潟民政局を設置して直轄地にします。
http://www.city.niigata.niigata.jp/info/rekisi_bunka/his1.htm

と非常にそっけない。これは長岡市の公式サイトが戊辰戦争史跡・城跡という独立したコンテンツを設けているのとは、あまりにも対照的だ。北越戦争 第四章によれば、いまでは同じ新潟市になっている地域でも、沼垂地区は新政府軍の支持者が多く、新潟島は同盟軍よりだったなど、状勢が入り乱れていたようだ。長岡が一致団結して新政府軍と戦ったのに対して、新潟はそうではなかったため、戦いの記憶が美化されずに「黒歴史」化してしまったのだろうか。

越後ブロガー

と、いきなり北越戊辰戦争の話をしたのは、註釈らしい註釈をつけずにローカルな話題を展開することで、「自らの住まう地域の持つ優位性への自覚」に欠けた東京ブロガーへの反省を促したかったからではない。アマゾンでなかば衝動的に

奥羽越列藩同盟―東日本政府樹立の夢 (中公新書)

奥羽越列藩同盟―東日本政府樹立の夢 (中公新書)

を買ったので、本が届くまでの肩慣らしとして北越戊辰戦争について検索していたら、「なぜ新潟市では北越戊辰戦争が語られないのか」がいきなり気になったのである。
もちろん社会科の「郷土の歴史を知ろう」的な授業で戊辰戦争を学ぶ機会はあったが、そこで取り上げられたのはもっぱら長岡であり、新潟でも戦闘があったことはまるで語られなかった記憶がある。この抑圧はいったい何なのか。