2007-04-01から1ヶ月間の記事一覧

緩慢な自殺

生まれて初めて失恋を経験したときに、オレは節食と絶食による緩慢な自殺を図った(痛いのは怖かったし、非合法な薬物を入手する手段を知らなかった)。しかし何しろ食欲旺盛で生命力溢れる19歳の時分、この計画は3日前後にして頓挫した。大変につまらぬ喜劇…

る・ふぁんとーむ・どぅ・ろぺら

“文学少女”と穢名の天使 (ファミ通文庫)作者: 野村美月,竹岡美穂出版社/メーカー: エンターブレイン発売日: 2007/04/28メディア: 文庫購入: 9人 クリック: 84回この商品を含むブログ (256件) を見る好評の〝文学少女〟シリーズの第4作。元ネタになっているの…

もやもや〜

大岡昇平『萌野』、読了。子供の出産を間近に控えたニューヨークに住む長男夫妻を訪れた、1972年4月の12日間を記した紀行文。「萌野」は大岡昇平が帰国してから2週間後に生まれた初孫の名から採られている。子供が生まれたら性別に関係なく「萌野(もや)」…

読むことの早漏

ライトノベルでさえ読むのに3日ぐらいかかることがある読書スピードの遅いオレだが、漫画は1日に何冊でも読める。「漫画に関するかぎりみな読むことの早漏を患っているのだ、もっと長く満足していたいのに」(四方田犬彦)。さくらん (KCデラックス イブニン…

野生化するワタクシ

せっかく新潟市で隠遁生活を送っているのだから、東京に復帰する前にホームグラウンドでアルビレックス新潟の試合を観るのも悪くなかろうと思い、新潟スタジアム(今年からネーミングライツで「東北電力スタジアム」になったようだが)へ。対戦相手は横浜F・…

いずこにありや、新聞部

夕刻、強い懐旧の念というよりは単なる好奇心から母校の新潟県立巻高等学校を拝みたくなり、JR越後線に飛び乗り巻駅で降りる。平成の大合併により新潟市になったが、往時は西蒲原郡巻町であった。駅前の「シャッター商店街」化、予想以上に激しい。自分がお…

ふたりきりの世界

夢を与える作者: 綿矢りさ出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2007/02/08メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 128回この商品を含むブログ (285件) を見る決してつまらない小説ではないし、300ページという長さに見合った内容を備えているのだが、それで…

こちらもよろしく

注目されているのかどうかいまひとつ判らないオレの別ブログ"Le Spleen de Tokyo"ですが、こまごまと更新しております。 http://bonzour.fr/blogs/spleendetokyo.php 内田樹のフランス語表記が「Tatsulu Uchida」になっているのは、フランス風の発音では「r…

「美大絵」は存在するか

一昨日の日記で取り上げた冬目景は、多摩美の出身である。そう言われてみれば、「いかにも美大出身っぽい絵だなあ」と感じる。しかし「言われてみればそう感じる」だけであって、絵を見ただけで「このひとは美大出身だ」と直感したわけではない。しかし「美…

3/4/6/8

クラシック音楽についてもっともらしい薀蓄を垂れた直後にこんなことを書くのも気恥ずかしいが、オレは4分の3拍子(以下、「3/4」)と8分の6拍子(以下、「6/8」)の違いがよく判らない。音楽に詳しい友人と一緒にCDを聴いていて、「この曲って3/4だよね」と…

南北イタリア

イタリアには陽気で快活な国というイメージがある。しかしイタリア出身の著名な指揮者やピアニストとなると、シノーポリ、アバド、ジュリーニ、ミケランジェリ、ポリーニ、シャイー(順不同)と、生真面目で神経質で理屈っぽいひとが多い(シャイーはそれほ…

大正・昭和レトロ

幻影博覧会(1) (バーズコミックス)作者: 冬目景出版社/メーカー: 幻冬舎コミックス発売日: 2005/01/24メディア: コミック購入: 2人 クリック: 35回この商品を含むブログ (155件) を見る幻影博覧会 2 (バーズコミックス)作者: 冬目景出版社/メーカー: 幻冬舎…

お嬢様はキャバクラ嬢

ルートパラダイス 1 マドンナは、キャバクラ嬢 (ヤングサンデーコミックス)作者: 久米田康治出版社/メーカー: 小学館発売日: 1994/01メディア: コミック クリック: 1回この商品を含むブログ (5件) を見る√Pルートパラダイス 2 (2) (ヤングサンデーコミックス…

繰り返されるオタク批判の諸行無常

とり・みき『愛のさかあがり 天の巻』(ISBN:4048520822)より引用する。ちなみに出版されたのはいまから20年前の1987年、すなわち連続幼女殺人事件によって「オタク(おたく)」がメジャーな言葉になる2年前でもある。 オタク差別というのももう流行らなく…

ちゃいるど☆あびゅーず

5年くらい前から、友人知人から「子供が生まれました」という報告を受け取る機会が増えた。そのたびに複雑な気持ちになる。わが子にいわゆる「DQNネーム」を付けるのだけは絶対に避けたいが、かといって古臭くて平凡な名前を付けたくもないといった、人文系…

女装者とMTFと鉄道とジェンダー

原武史『鉄道ひとつばなし2』(ISBN:4061498851)を読み進める。前作に較べるとアカデミシャンならではの緊張感が薄れ、いささか漫然としたコラムになった印象を受ける。ただし鉄道マニアの男性には女装者やMTFの性同一性障害者が多いという記述には目を惹く…

「赤い」を「赤ひ」と書いてしまふうつかりさんはむかしからゐた

安田敏朗『「国語」の近代史』(ISBN:4121018753)、読了。さまざまな事実を列挙するのにせわしなく、全体として著者が何を言わんとすることが伝わらなかった。いや、伝わりはするのだが、それは「日本語の表記はきわめて恣意的で、『正しい』日本語などはな…

ふとした疑問

「自意識過剰」という言葉は、何がきっかけで、どのように広まったのだろう。自然発生的に生まれて定着した言葉のようには、どうにも思えないのだが。

書いたものと読みたいもの

どちらも発売日は本日。音楽誌が書かないJポップ批評(48)出版社/メーカー: 宝島社発売日: 2007/04メディア: ムック購入: 1人 クリック: 3回この商品を含むブログ (4件) を見るまだ見本誌が届いていないのですが、『音楽誌が書かないJポップ批評』の奥田民生…

最近のオレは「環境管理」を使いすぎる

イキガミ―魂揺さぶる究極極限ドラマ (1) (ヤングサンデーコミックス)作者: 間瀬元朗出版社/メーカー: 小学館発売日: 2005/08/05メディア: コミック購入: 1人 クリック: 92回この商品を含むブログ (211件) を見るイキガミ―魂揺さぶる究極極限ドラマ (2) (ヤン…

こんにちは絶望先生

さよなら絶望先生(8) (講談社コミックス)作者: 久米田康治出版社/メーカー: 講談社発売日: 2007/04/17メディア: コミック購入: 3人 クリック: 38回この商品を含むブログ (235件) を見る『さよなら絶望先生』がアニメ化されるのは、どうやら本当に本当のよう…

アーキテクチャと心理

naoyaグループ - naoyaの日記 - 個別の公開と非公開 http://naoya.g.hatena.ne.jp/naoya/20070417/1176762932 はてなブックマークでエントリーごとに公開/非公開を設定できる機能があったらいいな、とオレは思っていた。仕事などの関係でポルノ的、アンダー…

夜神家は豊島園

DEATH NOTE デスノート the Last name [DVD]出版社/メーカー: バップ発売日: 2007/03/14メディア: DVD クリック: 74回この商品を含むブログ (236件) を見る前篇は劇場で観たのに後篇は機会を逸していて、ようやくDVD鑑賞。なんだ、これは。結末が原作よりも…

「私はその頂点に立つ凡庸なる者の守り神だ」

アマデウス [DVD]出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント発売日: 2006/12/08メディア: DVD クリック: 3回この商品を含むブログ (35件) を見るテレビ放送などで「ネタ」もしくは「資料」として何度か断片的に観たことはあるが、「…

第三勢力?

……そうなるとやっぱりこれからは、アポロンとデュオニソス的な精神界の戦になる。自分をひたすら自己反射ロボットにしようという志向と、自己の精神で天井を被ってしまおうという志向との戦いですね。前者はすごく健やか、後者は敗北主義。しかしながら、ヒ…

非喫煙者の悲しみ

asap@anex. - Anytime smokin' the cigarette. http://d.hatena.ne.jp/assa/20070415#p1 ああ。オレは仕事場ではなく、宴席で「非喫煙者の悲しみ」を経験したことが何度かある。 大規模な宴席がある。場を取り仕切る者は「大人」なので、喫煙者のテーブルと…

クマー!

熊はじつに獰猛な動物である。にもかかわらずぬいぐるみなどの熊は、つねに「かわいく」表象されている。これはなぜか。熊の恐ろしさを封じ込めるための護符として、熊のキャラクター商品が普及したのだろうか。 荷宮和子と大塚英志の共著で『クマの時代―消…

Les filles pourries…

オレが在仏日本人向けのフリーペーパー「ボンズ〜ル」に、なぜかフランス語で漫画評を連載しているのは以前もお伝えしましたが(もちろん翻訳はスタッフのかたにお任せしています)、紺條夏生『妄想少女オタク系』のレビューがいつの間にやらウェブ版にも掲…

「正しい」日本語はどこにある?

「国語」の近代史―帝国日本と国語学者たち (中公新書)作者: 安田敏朗出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2006/12/01メディア: 新書 クリック: 19回この商品を含むブログ (46件) を見る書店で見かけて気になっていて、id:Tez:20070409:p1を読んで購入にい…

崩落寸前の「繋がりの社会性」

いまブログでTwitterに触れると注目するひとが多いので、淋しがり屋で自意識過剰のオレは当然ながら触れる。「Twitterはあまりにも純化されすぎて崩落寸前になった『繋がりの社会性』である」。はい、おしまい。 Twitterでは「Friends」(私が友達になりたい…